そしてその心、ぼろぼろになりながらも、その歩みは確かに此処、
―――アクアルートへ。アクア、大地に立つ。

ジョー(否執事)ばりに燃え尽きかけ風味なアクアさんが、
少しずつ若気の至りを取り戻していく前半戦(共通ルート部)。

最前線を退いて、少しだけ大人になって、かなりやさぐれを覚えた彼女は再び出会う、
再び巡り逢うボーイミーツガール。彼の名は日向陽一。日はまた昇る。

彼との出会い、これもかつて彼女を意志で「きっかけ」は作っていたものなのかもしれません。
もちろん、あの通話がなくても…なのかもしれませんが、それでも、脈絡もなく無自覚であっても、
かつての彼女が未来の自分に繋げた希望の一欠けらだったのではないかとも思ってみたり。
(そもそも、アリエスだけでなく、陽一に対してもルート序盤で気心の知れた相手と言ってたりもする)
「例えその相手が覚えていなくても、それは確かにあったのだから」は、誰ぞの弁。
考えてみりゃこの時点で三人オトしていたのかもしれない、誰ぞの弁。

さてこの二人、陽一・アクア、お互いスロースターターにして、
一度火が付いたら止まらない止められないタイプでありまして、
この後の惹かれ合う速度もやや性急と思える(特に陽一側)ほどのスピードで結ばれていくわけですが、

その火付けともいえるのが宴会場面、酔いどれ天使の本領発揮と言わんばかりに酔った勢い+伝家の宝刀「膝枕」、
心身ともに相手の動きを封じた上での戦術的かつ盛大なゲ――うわなにをするやめ――

介抱していた相手に介抱されるという彼女の十八番、華麗なる無様であるけれど―――
それはあの時、あの頃、肩肘を張って、意固地にもなって、言えなかった後悔、
あれから今、少しだけ素直になって―――――い き な り や り す ぎ だ、がそれがイイ。
我慢するか、ぶちまけるか、どちらかしか出来ない、そんなラジカルっぷりがたまらない。
これから彼の前に全てを吐き出さんとする覚悟、そんな暗示にすりゃなりゃしない(笑)

ここから、探した指輪の秘密の「共」犯者となる以降、専用ルートへ突入、
かつて彼女が嘘と共に、継いだ夢。そしてこのルートへの繋がりもまた、嘘(部長に対するね)。
夢見るために積み重ね、いつかきっとを求めて、似たもの同士のタイトロープダンサーズは歩み出す。
掘り出された指輪の行方は―――?

それにしてもここまでの共通ルート、AQUA編を越えてかたらだと
一週目時とは全然違った見え方がするものでございます。
一週目の経験の蓄積と、AQUA編の知識による視野の拡大、「結局は、見方次第ってこと?」


--- 寄り道 [呼び捨て希望] ---

ここで使っている「部長」の呼称は銀河を指すものなのであしからず。
ちなみに個人的に、宇宙開発な方の部長さんは呼び捨て希望!
彼は何故かどちら様からもかなりの確率で明呼ばわりされてるのが非常に萌えたので(笑)
部長の呼び名には拘るけど、呼び捨てはスルー(オールOK)する、そんな明可愛いよ可愛いよ。

とはいえ、如何にそんな彼とはいえアレを「お父さん」と呼んだ陽一はやはり大物。

--- かしこ ---


同棲に至るまでの間、
「―――ここには道がある」とかいって徘徊癖(一回だけだってば)が直ってなかったり、
大吾の息子である銀河とを通して、過去を邂逅したり。少しずつ、リハビリモードに。
「中毒に陥った者の成れの果てを、あたしは知っている」、それは―――誰?
まぁ、大体彼女のそっち系の台詞は、自分へのカウンターなわけですが(苦笑)

--- 寄り道 [ オイタ ] ---

他にも、帰り道に部長を脇ッ腹を撃ったりするオイタをしておりましたが、
というか飛び道具を嫌っていた、男の武器は拳(ナイフ使ってるけど)な大吾に対して、
割とっていうか持ってりゃ大抵撃ってるアクアさんですが、こういうとこって、
明の影響も僅かながらでもあるのかな気もしないんですが、どうなんでしょうかねえ。
(陽一に対して選び方と扱い方を叩き込むな主旨の発言もしてるし)
全身ナイフに関してはもちろん大吾から継いだものなわけですが、ちょこちょこっと
そういう所が見られるんだよなぁ、あの同属嫌悪コンビ(アクア・明)は。

--- かしこ ---

さぁ、そしてそんな銃弾でぶち抜かれるほど胸キュンイベントがやって参ります。
捨てられた子猫に、手を差し伸べて拾い上げ、「あたたかい」と微笑む彼女。

そんな光景からの急直下、いや、あるいは必然か?
雨の闇と家の光とのコントラストのボーダーライン、
行き場(先)を失い、捨てられた子猫を拾った捨てられた子猫のような彼女が、
なす術もなく立ち尽くし、濡れた瞳で懇願する。

あのワンシーンの鮮烈さったら無かったね、切なさの走馬灯が駆け巡ったよ。
例え何も語らずとも、あの切り取られた世界そのものが、彼女の心象の映し鏡。

あんな姿を一目見て、誰が断るものかしら、拾うさ拾っちゃうよ!
アクアだったら一人や二人、三人や四人!
だがしかし、そこは我らが陽向陽一、勢いで突っ走りそうな場面においても、
彼は必ず一拍の思考時間を置いて、そしてもちろん、温かく迎えておられるわ!
一見、冷徹にも見られがちなほどの、彼の冷静…というか、どんな物事に対しても、
状況に流されきれず、自分の中で噛み砕いて判断してるとこがね、彼の素晴らしい持ち味だと思う。

余談ですが、アオコとだいごろうって名前も、まったくおまえらはって話ですよねぇ(笑)

そして再び繰り返される、同棲生活。
思わず立ち絵も一枚追加(この表情の印象の変化にも刮目せよ)されるほど、
ユルユル自堕落モードへ入っていく、アクアの無防備&危うさっぷりにも大変ご馳走様であるわけですが、
げに恐ろしきは、ピンポイントラヴハンター、日向陽一による的確で正確無比なピンポイント爆撃の一言一言。
その日その時その場所で、彼女の錆び付いた心を悉く拾い上げ、最も渇望するレスポンスを、
その心にするりと入り込んでは、迷えるハートを鷲づかみ。

以前の纏めでも同じことを言いましたけど、彼の言葉こそが正しく極上の麻薬。
しかも言われた人間に何らかの変革を起こすことから、中毒性や後遺症も半端ねぇ(笑)
実際、陽一の会話能力というか、コミュニケーション能力は、
後にあの毒舌家アク…じゃなかった、明すら二度(明香ルート含)に渡って言い包めるのほどであって、
彼の言葉は何処か人をその気にさせるものがありますよね。人っていうか、世界を。

待ち受けに映るアリエス、一升瓶抱えて眠りこける天使、
そして砕かれた携帯が、彼女の想いの丈をを象徴する。
(何度でも言うけど、アクアのこういった危うい行動の度に決意を新たにする陽一はマジで燃え)

最初のプラネタリウムへ、
「夢の価値、偽者だからこそ、夢があるからこそ、僕らは歩んでいける」

これまでの彼女の生き方の肯定、だが、それだけでは足りない。

「なら、その目指して歩いた先の夢が消えてなくなったら、どうすればいいの?」

そう、これからどうすればいいのか。肝心なのはその先で。

出せない答え、過ぎ行く停滞、時が過ぎれば過ぎるほど、優しいいつかに背を返す。
あんなに懸命に焦がれ焦がれて生き抜いたアクアなら、なおさら。
それもまた、一つの道、お互いがお互いに見た過去の幻影を貪りあうのも、一つの道。
そう、「お互いに」。キスシーン、彼女の想いに応える陽一の、優しさに
かつての想いが宿ってしまう。それもアクアにとって、最悪のシチュエーションで。
呼ばれる痛み、そして呼ぶ痛み、両方を知っているアクアの心を、どれほど抉るのか。
しかも前回(大吾に呼ばれた時)はスタッフロール回してまで、「タメ」を作っておいて、
今回は完全にノーモーション。どんだけ叩きつければ気がすむのかッ(笑)

貪りあうこともできず、ただただ互いに互いの夢を傷つける。
逃げたいのも、縋りたいのも、「共」に同じ。

それでも、傷の正体すら分からぬまま、それでも陽一は考える、考える考える。

「傷つけても許される相手を、求めている」と、

もう何度でも言うけどさ(笑)、あの辺りのアクアに対する指摘とか、
本当に陽一は、常にアクアにとっての真実を、本意を汲み取ろうと、常に思考の頭に彼女ありきで
考えて考えて、決して投げ出すことのなく必ず答えを導き出して救い上げる姿勢がね「アクアは陽一の嫁」!